あえぐ経済、支持率低迷 台湾・馬総統就任100日
2008年8月31日8時46分
【台北=野嶋剛】台湾の国民党・馬英九(マー・インチウ)総統が就任して100日が過ぎた。中国と関係改善は進む一方、目立った経済効果はなく、30日には台北で20万人規模の抗議デモがあった。陳水扁(チェン・ショイピエン)前総統の不正送金スキャンダルという「助け舟」を得たものの、新政権の低空飛行が続いている。
「馬英九はうそつきだ」
30日、台湾の市民団体や民進党の支持者らによるデモは、馬総統の「公約破り」への非難一色となった。
総統選で馬総統は民進党政権の経済失政を攻撃、「馬上好(すぐに良くなる)」「準備好(いつでも大丈夫)」などの分かりやすいスローガンと、域内総生産(GDP)6%成長や失業率3%以下などの公約で支持を集めた。
ところが就任後は、台湾経済は世界的な原油高など物価上昇に直撃され、今年のGDP成長予想値は約4%。失業率も4%を超える見通し。平均株価も就任時から20%以上も下落した。馬総統は先週、「恐らく今後1年の経済は思わしくない」と述べ、事実上の公約断念を明らかにした。
民放「TVBS」の世論調査によると、現在の馬政権への支持率は41%。7月に30%まで落ちた数字は持ち直したが、高い人気を誇った当選時の勢いは失われている。
馬総統は就任後、中国との9年ぶりの対話を復活。中台を結ぶ週末直行チャーター便も7月に実現させた。中国が反発する「国家」としての国連加盟申請を9月の国連総会で求めないなど、中国との摩擦を避ける政策が目立つ。
問題は、対中配慮に伴う経済効果の「実益」が十分に見えてこない点だ。直行チャーター便を利用する中国人観光客も期待されたほど伸びず、「代価なき中国への譲歩は台湾を中国に売り渡す行為に等しい」(民進党の陳唐山・前総統府秘書長)との批判がくすぶる。
揺れる馬政権に「塩を送った」のが、今月表面化した陳前総統の不正送金事件だ。陳前総統が重用した情報機関トップが在任中に不正の情報を握りつぶした疑いで起訴され、事件が拡大の一途をたどる中、「クリーン」を売り物にする馬政権への信頼回復の一因になっている。
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