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2007年8月30日 星期四

網咖難民5400人

 定まった住居がなく、インターネットカフェなどで寝泊まりしている「ネットカフェ難民」が全国で約5400人に上ると推計されることが28日、厚生労働省が実施した調査で分かった。20代が27%で最多だが50代も23%おり、高齢層にも広がっていることが判明。このうち半数が日雇い労働など非正規労働で日々の生計を立てているとみられるほか、失業者や無業者も全体の4割に達しているという。全国的なネットカフェ難民の実態調査は初めてで、厚労省は今後の具体的な支援策を検討することにしている。
 調査は今年6〜7月に実施。全国の24時間営業のインターネットカフェや漫画喫茶など1173店と、抽出したオールナイト利用者1664人に生活実態を調査した。

 店舗調査の結果、オールナイトで利用する人は1日あたり約6万900人と推計。多くが「パソコンなどを利用するため」(52・8%)や「夜遅くなり帰宅がおっくう」(27・8%)だったが、「住居がなく寝泊まりのため」に利用している人が7・8%いた。

 オールナイトの利用者に利用頻度を聞いたところ、「週5日以上」が17・8%、「週3〜4日」が20・1%だった。これらから、週の半分以上をネットカフェなどで泊まり歩いている住居喪失者が約5400人いると推計した。

 住居喪失者を雇用形態別にみると、アルバイトなど短期直用労働者が約1200人、日雇い労働など1カ月以内の短期派遣労働者が約600人で、長期を含めた非正規雇用の労働者は計約2700人。正社員として勤務している正規雇用労働者も約300人と推計された。また、失業中が約1300人、仕事を探していない無業者も約900人と推計した。

 厚労省職業安定局は「住居のない不安定就労者の数が、多いか少ないか、意見は分かれるところ。しかし、就職していないために住居を持てず、住所がないために就職できないという悪循環があるのは確かで、これを絶つための支援を行っていく必要がある」と話している。

「将来不安、3時間しか眠れず」 ネットカフェ難民
2007年08月28日13時54分

 実態が把握しにくいネットカフェで、事実上ホームレス状態の新たな貧困層が確実に広がっていた。厚生労働省の「ネットカフェ難民」実態調査が示した深刻な結果に、専門家からは早急な対策を求める声が相次いだ。

 「将来が不安で、毎晩3時間ほどしか眠れなかった」。6月まで、東京・浅草や池袋のネットカフェで寝泊まりしていた男性(40)は振り返る。

 地元に仕事がなく、派遣社員として食品工場で働くため、今年4月に東北から妻(27)と2人で上京。だが工場では、深夜から早朝にかけての労働時間が、面接での約束より長いうえ休憩もなし。最初の3カ月は社会保険もなく、夫婦で会社の寮を飛び出した。残金1万3000円を手にネットカフェに泊まり、求人雑誌で仕事を探した。

 まもなく妻は旅館の住み込みの仕事が見つかったが、男性は複数の日雇い派遣会社に登録。書籍発送や引っ越し作業などを続けたが、腰を痛めて働けなくなり、8月から生活保護を受けている。

 こうした東京のネットカフェ難民300人に対する厚労省の今回の聞き取り調査では、48.6%が日雇い労働に従事。毎月の支出は食費が平均2.5万円、宿泊費2.4万円。住まいを得られないのは「敷金など初期費用を貯蓄できない」(66.1%)、「家賃を払い続ける安定収入がない」(37.9%)と、低賃金が一番の壁になっている。

 厚労省は来年度からネットカフェ難民向けの相談窓口を設け、職業紹介や無料技能講習の紹介などを始める。だが、NPO法人「自立生活サポートセンターもやい」の湯浅誠事務局長は「就労支援だけでは解決は難しい。職業訓練の間の生活費、住居費をどうするか。日雇い雇用保険の適用など、既存の制度で使えるものもあるはずだ」と指摘する。

 今回の調査は、こうしたホームレス状態が若年層にも広がっている現実を行政にも突きつけた。独協大学の森永卓郎教授は「非正規雇用の拡大で、新たな貧困層がネットカフェに集まっており、放置すればスラム化の恐れもある。今なら敷金や家賃の無利子融資など、わずかな支援で生活を立て直せるので、早急な対策が必要だ」と訴える。

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