【11月11日 AFP】世界金融危機が観光業界にも打撃を与えつつあるなか、アルゼンチンでは、まさしく「息をのむような」新しい観光アトラクションが話題を呼んでいる。その名も「雲行き列車(Train to the Clouds、Tren a las Nubes)」だ。
北部のサルタ(Salta)を出発する列車は、アンデス山脈(Andes)の高度4200メートルまで乗客を運ぶ。各客車には、酸素ボトルが用意されている。往復400キロ、計16時間という長旅だが、乗客たちは乾燥した平原、荒涼とした山々といった風景に目を奪われる。
ドイツから来た48歳の女性は、「こんな風景、見たことないわ。高度4000メートルでも、車内は20度に保たれているから寒くはないし。本当にすばらしいわ」と興奮気味だ。
圧巻は、2つの峰を結ぶゆるやかにカーブした長い陸橋だ。200人近い乗客から一斉に歓声が上がる。
■高山病に備えて医師も同行
この鉄道は、1920-30年代に鉱山の運搬用として建設されたものだ。空気が極度に薄い環境の中で1000人以上が建設に携わり、高山病で多くが亡くなった。設計した米国の建築家リチャード・モーリー(Richard Maury)は地元では英雄のように扱われ、彼の名前を冠した駅も存在する。
この鉱山鉄道は2005年半ばに一度閉鎖されたが、その後新しい管理会社のもとで観光列車として再開。すぐさま国内外で人気を呼んだ。高度では北京-チベット間を走る青蔵鉄道、ペルーアンデス間を走る鉄道に次ぐ世界第3位だ。
列車には乗客の高山病に備えて、医師1人と看護師3人が同乗する。1回の運行につき200人が乗車するが、うち30人から40人が、頭痛・吐き気・腹痛といった高山病特有の症状に苦しむという。
だが多くの乗客は、あらかじめ対策を施している。アンデスにおける伝統的な治療法として、コカの葉を煎じたお茶を試す人もいる。
列車は週に3回運行される。運賃は100ドル(約9800円)だ。(c)AFP
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