米保険最大手AIGへ850億ドルもの公的救済が決定してから1週間後の2008年9月23日、AIGグループの保険子会社であるAIGアメリカン・ゼネラル社の幹部10人ほどが、営業成績優秀な保険代理店関係者を連れて、カリフォルニア州の高級リゾート地モナーク・ビーチにあるセント・レジス・リゾートホテルへ豪遊に出かけた。
重役たちは1泊1,600ドルのスイートルームに宿泊し、宴会に15万ドル、温泉入浴料に2万3,000ドル、その他様々なお楽しみに会社の金を支払った。その費用総額は44万3,343ドル71セント(約4,180万8,730円)。(請求書のコピー)10月7日、米下院政府監査改革委員会の主催する公聴会で、この巨額の浪費について批判されたAIG前CEO(ロバート・ウィルムスタッドとマーティン・サリバン)は、共に任期を終えた後の支出については関知できないと批判をかわした。
ホワイトハウス広報担当官は、「卑しむべき行為」とAIG側を批判した。イラク戦争で戦死者が急増し、財政赤字が史上最高額を更新する最中に、歴代大統領では最長となる夏休みをのんびり過ごし、ハリケーン・カトリーナ大災害の被災者対応をまともに指揮しなかったジョージ・ブッシュのホワイトハウスが「卑しむべき」と表現したのだから、事態は深刻だ。ところが、AIGの現CEOエドワード・リディは、ポールソン財務長官に宛てた書簡で、リゾート地で44万ドルも支出した件は「保険業界では常識的なことである」と堂々反論し、謝罪はしなかった。
アメリカの納税者がさらに驚いたのは、9月23日から30日までの豪遊を批判されたAIGが、その次の週、ちょうど米政府が追加支援として378億ドルの融資枠を決定したその日から、カリフォルニア州ハーフムーンベイのリッツ・カールトン・リゾートホテルでさらに豪遊する予定であったと聞かされたことである。AIG重役による2度目の緊急豪遊計画は、世間の厳しい視線を意識したのか、開催寸前に自主的にキャンセルされた。さらにAIG側は、今後そうした「保険業界では常識レベルの」豪遊はしないと宣言した。
だが正確に言えば、AIG重役室は「米国内では豪遊しない」というつもりだったらしい。同社に対する378億ドルの政府融資枠が決定した日、AIG重役の4人が、カリフォルニア州で豪遊する代わりに、英国に出かけて4日間ハンティングを楽しんでいたのだ。その費用は、8万6,000ドル(約811万1,517円)。このハンティング旅行に参加した或るAIG重役は言った:「景気後退は2011年まで続くだろうな・・・でも今日の狩猟は素晴らしかったねえ。存分にリラックスできたよ。」
AIG広報担当官は、ハンティング旅行は1ヶ月前から計画されていたものでキャンセルできなかったと弁明した。
宴は終わる?
納税者の怒りが沸騰する中、ついに司法当局が立ち上がった。2008年10月15日、AIG本社のあるニューヨーク州の検事局長アンドリュー・クオモは、 2007年1月から現在までのAIGの支出内容について調査すると宣言し、今後全ての豪遊計画や前CEOを含めた役員報酬、及び社員向けボーナス支払いを 凍結せよとAIG側に命じた。「パーティはもう終わりだ」クオモ検事は言った。AIG側は、社員ボーナス用に6億ドル(約565億9,200万円)、サリ バン前CEOの退職金のために1,900万ドル(約17億9,208万円)を用意していたという。
危機を浪費で乗り切ろうとするAIGの奇妙な感覚
沒有留言:
張貼留言