心の病とともに歩んできた青年が、自身の胸の内をつづる詩画集「左のモノクロ」を出版した。「たくさんの人にこの本で恩返しがしたい。伝えたい言葉がいっぱいある」。生きることへの前向きさが共感を呼んでいる。
むつ市に住む斉藤翔さん(26)。統合失調症を軽快させ、2年前から散文詩を書き始めた。
「左のモノクロ」には鉛筆で描いた絵を添え、77編を収録。斉藤さんは左利き。「モノクロの今からカラーに色づく未来へ」の思いがタイトルに込められた。
髪をむしり、頭が割れるほど壁にぶつけた。近所に聞こえるほどの怒声。父を殴り、母を泣かせたが、一人になるといつも部屋でひざを抱えていたという。
22歳の時、十和田市の病院へ入院。その後、精神障害者生活訓練施設に4カ月間、入所した。
「左のモノクロ」には、田名部川へ身を投げたことや病院の保護室に入ったことも記されている。
自分自身を確かめるように書きつづった。心の元気を取り戻したのは、むつ市の福祉施設や共同作業所の「仲間たち」がいたからこそ、だという。
心は心でしか癒やされない 何度も振り返り 何度も立ち止まり 何度も迷った
だけど僕たちは仲間と手をつないで歩ける強さを知った
一番好きだという「小さな花」にそう書いた。
斉藤さんは来月1日にむつ市で開かれる「バリアフリーコンサート2008」のステージに立つ。
「本を出して、みんなの前で発表できるようになるなんて、思ってもみなかった。感謝の気持ちを伝えたい」。そう話した。
「左のモノクロ」は十和田市の文化出版刊、1050円。むつ市の平安堂や青森市の成田本店などで販売中。
http://mytown.asahi.com/aomori/news.php?k_id=02000000810230003
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